2015年1月20日火曜日

【書籍】棒を振る人生 〜佐渡裕

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リーダー論とクラシックに興味があるけれど手を出せない人にはオススメの一冊。

その昔、よんだことのある オーケストラ指揮者の佐渡裕氏の本が出ていたので、買ってみる。
小沢征爾氏があんな感じなので、実質的な日本人指揮者の第一人者といっても過言ではないだろう。
その半生は、フルートを学んでいたり、京都の女子高のブラスバンド部やアマチュアオーケストラの指揮者などを務めていたり、どう贔屓目にみても世界的指揮者になるような経歴ではない。
そんな経歴なのになぜかブザンソン国際指揮者コンクールで優勝し、指揮者デビュー。
日本人は、いつの時代も外からの権威、黒船に弱い。

そんな佐渡裕氏の波乱に満ちた半生がつづられているのは、「僕はいかにして指揮者になったのか」に書かれているので、興味がある人はそっちを読んだほうがいいだろう。

この本は、今の佐渡裕とこれからクラシックを聴く人向けに書かれた本。
たとえば、バーンスタインとカラヤンの比較などが書かれている。
名前的に見ると カラヤン(ラにアクセント)のほうが、関西人ぽく 人懐っこくて、ウエットな感じ。
バーンスタインは、それこそバーン!と圧倒的存在でオーケストラとの会話はなく、力押しするタイプ。
のように思えるが、実際は逆である。
カラヤンは、オーケストラの構成員の力を信じ、プライベートな会話はなく、演奏で引っ張るタイプ。
まさに、バーン!という存在感あるれるタイプ。
パーンスタインは、オーケストラと日々会話し、構成員の状態の把握に努め、その状況を元に演奏を作り出すタイプ。まさにウエット。からやん タイプ(らにあくせんと)。
手法は違うけれど、到達するところが一緒というのが面白い。

棒を振る人生というのは、まさに佐渡裕氏の人生にぴったりなダブルミーニングな題名で、なかなかよい。

もう一月になるエピソードは、小学校の同級生が砂場の角で頭を打って亡くなった際、直前に佐渡裕氏に「あそぼうよ」みたいな誘いをかけていて、その誘いを断ったらしい。
その誘いにに乗っていれば、砂場の角に頭を打つ可能性はなかったかもしれない とおもうと
同級生のご両親に言い出せず、ずっと秘密にしていたらしい。
その後、ある譜面の解釈に悩んでいた際に、その夢を見て、解釈がわかった。
というエピソードがあり、その話を 心理学者の河井隼雄さんに話したところ、河井隼雄さんは、涙を流すだけでコメントしたくてもできない状態になったらしい。
この夢にどういう意味があるのか、書かれていないけれど、何か重大な悲しみを抱えた夢だったらしい。
河井隼雄氏もきになる著者に入ってしまった瞬間だった。

リーダー論とクラシックに興味があるけれど手を出せない人にはオススメの一冊。

そういう方向で。

【PHP出版】棒を振る人生
http://www.php.co.jp/books/detail.php?isbn=978-4-569-82059-0

【ジュンク堂】棒を振る人生 〜指揮者は時間を彫刻する
http://www.junkudo.co.jp/mj/products/detail.php?isbn=9784569820590

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