デジタル化、ネットワーク化がどんどん進んでいく中で、人間の居場所があるのかどうかを考えた新書。
結論としては、人間の居場所はない ということで、全く希望も夢もない結論を導き出している。
筆者は、コダックに長年にわたり務めておりアナログからデジタルへの移行の過程で、一つの巨大な業界が崩壊していく様を目の当たりにしており、これと同じ状況が他の業界にも起きていると警告している。例えば、アマゾンは書籍業界を根本的に作り変えているように見えるし、3Dプリンタは既存のキャラクタービジネスの崩壊を予感させるものであると。
工場も流通もどんどん小人化、無人化が促進されていくため、従来の学校教育の道のりをたどっても卒業後に就職するであろう従来の仕事の数はかなり少ない。
さらにタクシーやバスが無人化されたのなら、車の売れ行きにも影響が出るであろうから、車産業の未来も今ほど勢いがないものになるかもしれない。
現在でもスマホ、タブレットで、音楽や映像の家電は統一インターフェース化されたように思うので、黒モノ家電は廃れていくだろう。ということで家電業界も激しい変化の波にもまれることだろう。
今までこんな変化がなかったかといえば、そうでもなく 歩いて旅していた時代には馬車や渡し舟などがありこれらの業界が存在したはずだけど、今はない。
石炭を燃やして暖を取っていた時代には石炭業界があったけれど今はない。
よく考えると今ない業界はたくさんある。
その度に崩壊を体験しているはずなので、人類にとってはそれほど珍しい出来事ではない。
問題なのは、そのスピードが人の一生よりも短いペースで起こるため、社会人になって全く違う業界に足を踏み入れることになることがあるのが今までとは違うことだろう。
変化できない人が淘汰されるかもしれない時代がそこまでやってきている。
抗うより、流れに適応するしかなさそうだ。
楡周平 『「いいね!」が社会を破壊する』 | 新潮社
http://www.shinchosha.co.jp/book/610542/
2016年9月7日水曜日
「いいね!」が社会を破壊する。 楡周平
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