2014年11月18日火曜日
億男 〜川村元気
「世界から猫が消えたなら」で、ボクに衝撃を与えた川村元気の最新作。
「億男」
章構成がまたすごく
・一男の世界
・九十九の金
・十和子の愛
・百瀬の賭
・千住の罪
・万佐子の欲
・億男の未来
とちょっとずつ桁があがって行く。
数字をテーマにした本かとおもってしまう、章構成だが、この本のテーマはズバリ金だ。
金をテーマにした本と言えば、「金持ち父さん、貧乏父さん」、「エンデの遺言 ―根源からお金を問うこと (講談社+α文庫)」とかが思い浮かべる。
大部分のビジネス書は、あまり金とは何かを解説したりせず、
既にわかりきったルールとして扱っているため、いかに金を増やすか ということがテーマになっていることが多い。稲盛和夫氏が、儲けた金は預かりものだという考えを示すぐらいで、金とは何かをテーマにすることは、ほとんどない。
その意味で、この「億男」は異質で、興味深い内容に仕上がっている。
「十和子の愛」の章では、日本人では一般的な 金とは汚らしい物で触れてはならない物として教育されたが故に、愛憎の裏側の気持ちとして、最終的に見ているだけで幸せな気分になってしまう物に変化してしまう。
テレビだと、おそらくハッピーエンドとして描かれるであろうこの結果が、ハッピーに見えないのは川村元気の文章力故だろう。
何が幸せなのか、考えて生きて行く必要が有りそうだ。
あまり考えないうちに、使い切れない金を手に入れてしまうと、「欲望」が暴走して
使い切れない金も使い切ってしまう。
この世界には、そのような欲望を助長するような仕組みになぜかあふれている。
確定申告しなければならない、サラリーマンとして最高峰の地位に上り詰めた人の家の窓が木の枠で
なんでこんなことになっているのかずっと不思議の感じていたが、なんか理解できた気がする。
あと、会社に企業理念が必要な理由も、欲望が暴走する理由により説明がつく。
もっとも、欲望が暴走できるほど儲けることができる会社が少ないため、企業理念は無くてもいいという意見も出てくる。
この世界を支配する当たり前のように思えるけど、摩訶不思議なルール 金を考えるよいきっかけになる。
数々の名言が間に挟まれているけれど、
人生に必要なものは、
勇気と想像力。
それと、ほんの少しのお金です。
というチャップリンの名言が心に残った。
そういう方向で。
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